甲状腺について
甲状腺は頸部の甲状腺軟骨(甲 かぶと)の形をした軟骨、その一部は一般に喉(いわゆる、のどぼとけ)の前にあります。甲状腺ホルモン(体の体力、代謝を高めるホルモン、胎児では脳の発達に重要)を分泌している内分泌臓器です。甲状腺の病気は前頸部の腫れで気づくことが多いのです。
甲状腺の病気と甲状腺ホルモンの調節について
甲状腺の病気は炎症によるものと、腫瘤(良性、悪性)があります。機能面から診断すれば甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌していますから分泌が多ければ機能亢進症、少なければ機能低下症となります。甲状腺ホルモン(サイロキシン)の量は正常人では脳下垂体(脳の奥にある臓器)から分泌される甲状腺ホルモン(TSH)により一定のレベルにうまく調節されています。甲状腺ホルモンの量が足らなくなれば、甲状腺がしっかり仕事するようにと自動的に脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン放出は停止し、過剰な甲状腺ホルモンは分泌されません。(巧妙に調節されていますね。)
病気
1.炎症
急性甲状腺炎:まれな病気ですが、咽頭から細菌が甲状腺に入り込んで起こります。甲状腺の所(前頸部)が異常に痛く発熱します。外科的治療が必要です。
亜急性甲状腺炎:ウイルスによると考えられていますが、甲状腺の所(前頸部)が痛く、発熱します。炎症を強力に抑えるステロイドホルモンの投与が必要です。
慢性甲状腺炎:別名橋本病といいます。日本名がついている病気は少ないのですが、名誉あることに発見者橋本策先生の名前にちなみ命名されいる病気です。自己免疫によるものです(自分で自分の臓器・器官を破壊する)。基本的には甲状腺機能低下となりますが、病状はゆっくりしており、正常機能の人も多く認められます(甲状腺が腫れているだけで自覚症状なし)。
短期間で一気に甲状腺が破壊され、甲状腺に貯蔵されていた多量の甲状腺ホルモンが漏出し、血液中の甲状腺ホルモンの値が高値になり、機能亢進症と同じ症状(どうき、多汗、疲れやすいなどです。痛みはありません)が出ることがあります(破壊性甲状腺中毒症)。
2、機能面から
機能亢進症:バセドウ病(突眼、下腿浮腫を示す人もあり)と言われるものです。極まれに甲状腺腫瘍から過剰のホルモンが生産されるプランマー病によるものもあります。甲状腺を刺激する自己抗体(甲状腺刺激抗体)が産出され、とめどなく甲状腺が刺激され血液中のホルモンの値が高値になり、どうき、多汗、疲れやすい、体重減少、手の震えなどの症状が出ます。
3、腫瘍、腫瘤
良性、悪性の識別には、超音波などによる画像診断、甲状腺腫瘍からの細胞診が必要です。
【良性】
甲状腺腫、甲状腺のう腫、線種様甲状腺腫
【悪性】
甲状腺癌
当院院長は倉敷中央病院の開放病床登録医です
適切で効果的な医療が効率よく行われる仕組みを
「病診連携」といいます。
病院を受診する際は、受診日を伝え紹介状を持参しましょう。 |